地獄からの復活を遂げた安倍晴明の居城へ攻め入るため、門の扉をかけた陰陽師同士の戦いに勝利した竜二の活躍に目を奪われた前巻。
最上階にいる安倍晴明を討つべく仲間と共に死闘を繰り広げながら階段を駆け上る姿に、最終巻への期待が高まった読者も多かったのではないでしょうか。
ここまでの展開のスピードの速さに読者はついていくのがやっとですが、安倍晴明と羽衣狐、そして主人公のリクオの戦いに目が離せない最終巻となっています。
果たして、リクオは安倍晴明を討つことが出来るのか、羽衣狐はどんな絡み方をしていくのか…今回はぬらりひょんの孫ネタバレ最終巻の25 巻のあらすじと感想をお伝えします。
目次
ぬらりひょんの孫25巻(最終巻)のネタバレ1 最強で最大の宿敵「安倍晴明」
ぬらりひょん最終巻を語るうえで欠かせない重要な登場人物が安倍晴明です。
安倍晴明は羽衣狐の息子であり表の顔として天才陰陽師として活躍しています。
反面、裏の顔としては半妖でありながら京妖怪の首魁として百鬼夜行を率い、人と妖怪の共存を目指していました。
しかし、自分の産みの母親である羽衣狐を倒され、人間の私利私欲や醜さを目の当たりにしたことにより酷く絶望します。それにより、共に共存するという思考ではなく妖怪上位主義になっていきます。
その思想により、
「醜さや愚かさを生み出さないために、弱いもののいない世界を作ることが秩序ある平和な世界だ」
「秩序ある世界を守るため、自分は強くならなければならない」
と母親の羽衣狐に訴えます。
しかし会談は決裂し、親子の二人は対立。安倍晴明の辛い過去は悪役にも関わらず読者の感情移入を促します。
それこそ著者の絶妙な展開運びで、今までの伏線を拾い繋げれば、気が付くと主人公のリクオや、羽衣狐と対立する立場をしっかりと確立しています。
どこまでもひねくれているし、残酷だし、聞く耳持たない嫌な奴というキャラクターを読者に上手に刷り込み、アンケートでも常に人気が低い状態をキープしていました。
最終巻でも、最後まで嫌われ役としての存在が最大限際立っていました。
読者の悪役だけど可哀そうという心理を誘い、終盤のストーリーに向けて読者の気持ちを更に盛り上げていってくれます。
ぬらりひょんの孫25巻(最終巻)のネタバレ2 最強の鬼纏
羽衣狐は千年前の平安時代より存在し、かつては魑魅魍魎の主として京妖怪を統べていました。
長い間、主人公リクオの父親である鯉伴を倒した仇敵で対立が続いていました。
しかし、悲願であった安倍晴明を現世にもう一度出産した際、息子本人の手で地獄に落とされるという残酷な裏切りを受けます。
今まで敵役として大活躍していたのに、最期はこれか…と戸惑います。
しかし、ぬらりひょんの助けにより母性を宿した妖怪へとして復活を遂げるので驚きです。
息子と再会するも掲げる理想の違いから対立し、主人公リクオを助けるために力を貸す展開に。あの時の喉の閊えが取れた気がしました。
ぬらりひょんに登場する敵役は、どのキャラクターも複雑な事情や悲しい過去を抱えています。
一概に敵役だからといって、少年漫画の王道のようなハードアクションで倒すような展開だと、回収しきれない場合が出てくる可能性があります。
そのため読者としては、最終回までに解決されるか気になってしまいます。
その点、リクオと羽衣狐の鬼纏い(まとい)は読者が一度は夢見る強力なタッグで、羽衣狐の最終回での活躍は最後にふさわしい展開でした。
そして、読者の期待に応えるかのように、最後は今まで共に戦ってきた百鬼夜行の仲間達を鬼纏います。
そんな大技を繰り出せるなら、もっと早くにだしておけよ!などと雑念がよぎりますが宿敵である安倍晴明を倒すことができ一安心です。
しかし、これ以上どの仲間達も傷つかなくて良かったと思う反面、もう少し激闘が続いてくれてもよかったのにと、最終回ならではの物悲しさを感じてしまいます。
それだけ登場しているキャラクターの魅力が高い漫画だと言えます。
ぬらりひょんの孫25巻(最終巻)のネタバレ3 著者こだわりと墨絵の効果
著者は、ぬらりひょんに登場する妖怪の多くを、参考文献として鳥山石燕『画図百鬼夜行』、竹原春泉『絵本百物語』、河鍋暁斎『暁斎妖怪百景』の3つの妖怪画集から採用しています。
また、重要なシーンでは度々墨絵が取り入れられているなど、描写に強いこだわりを感じます。
最終巻でも、一番の見どころである安倍晴明との決着シーンや、主人公を取り巻く仲間達の想い等に、墨による表現が使用されており、より魅力ある展開に仕上げてくれています。
著者の絵柄は背景や登場人物の細かい所までも比較的手書きが多く、独特の世界観があります。
この強いこだわりがあるからこそ、ぬらりひょんに登場するキャラクターは主人公を始め敵役や些細な役までもが、それぞれの個性が際立つのでしょう。
妖怪を描く際の細かさや絵柄のリアルさが読者の心を掴みます。
最終巻では、通常は一般的な描き方で書かれている登場人物も、書き方が墨絵に変わるだけで印象や迫力に大きな違いが出ていました。
それまではその他大勢の中の一人のキャラクターでも、話の展開と共に存在感が変化します。
描き方一つで読者の持つ印象を変えることが出来る墨絵は、ぬらりひょんの最大の魅力の一つと言っても過言ではありません。
ぬらりひょんの孫25巻(最終巻)のネタバレ4 番外編漫画のクオリティ
ぬらりひょんはジャンプ本誌で打ち切りとなり、ジャンプNEXT!にて最終話が掲載されました。
読者として阿倍晴明との最終の決着までは無事迎えたものの、少し駆け足であった感が否めなく、いくつか気になった部分を抱えたままの読者も少なくないのではないでしょうか。
そんな読者のためかのように、最終巻には番外編が四話、おまけのおまけという書下ろしも含まれています。
・本編では触れられなかったリクオと鴆(ぜん)と猩影(しょうえい)の3人の過去に出会っていた頃の話。
・最終話後の平和なひと時の話で夜版の強気なリクオの泥酔騒動、ゆらを支えていた花開院家の竜二のその後の活躍。
・気になっていた読者が一番多かった可能性の高いリクオの父、鯉伴(りはん)と山吹乙女(やまぶきおとめ)の悲恋の話。
・おまけのおまけという描き下ろしで、本編では出番が少なかった主人公と氷麗(つらら)の恋愛事情。
その後の二人の関係が気になっていた読者も多いのではないでしょうか。そんな読者の期待に応えるような、少し歯に噛んでしまうような展開のお話です。
本誌では語りつくせない展開がまだまだ著者にはあったのではと思わせてくれる程の内容の濃さです。
もう少し連載が続いていたならと残念な気持ちと、いつかぬらりひょんの孫その後編が掲載されないかなといった期待が持てる内容になっています。
ぬらりひょんの孫25巻(最終巻)の感想
前巻に引き続き、ジャンプ連載終了後の内容になっているので、ぬらりひょんの最終話を見届けるために欠かせない巻です。
安倍晴明との激闘の末、羽衣狐との共闘により勝利を手にする主人公と、それを支えた仲間達との最高の笑顔は見ものです。
番外編も一つ一つの内容が濃いものになっており、一度番外編を読んでから、もう一度初巻から読み返すのも、今までとはまた違った視点で読み進めることができるのでお勧めです。
今までぬらりひょんを応援し読み続けてきたファンも、表紙の絵に惹かれて初めて手に取った人もどちらも楽しめる内容になっています。
妖怪や任侠が好きな人やバトルシーンや描写にこだわりがある人は、百鬼夜行の妖怪達の任侠漫画ぬらりひょん、一度手に取ってみてはいかがでしょうか。